不条理のようだ。計り知れない一個の運命ではあるだろう。暗雲がとぐろを巻いている。それは出口とはまた違う何らかの結論。謀られた偶然とも映る。だが運命は多くの場合そうしたものだ。不条理と条理とは背中合わせに密着し結びつけられている。運命は計り知れない。この事例の場合には、神意はどこに働いたのか。ことの起こりは卑俗なものだ。要するに女に拒絶された男が女を殺したのである。特筆すべきは、女の突き落とされたその高度。死体とはすなわち死んだ身体のことである。だがこの場合には余りにも破壊し尽くされていた。詳述することは止そう。それを死体と見なすには余りにもとどめていなかったものがあったのだ。残骸。飛行中の小型飛行機から突き落とされた結果であった。地元警察による公式の発表は〝事故〟。男が地元有力者だったためであり、諸々の不都合な事実をなきものとするために、それ相当の金と人員とが使われたことは言うまでもない。死んだ女は無名の女優であった。しかしここまでならば悲惨で浅ましいだけの嘆かわしいお話である。一つの偶然が事態に何か神秘なものをつけ足したのだ。この〝事故〟には死者がもう一人いる。飛散した肉体の一部分、殊に数本の肋骨が胸部と腹部に突き刺さって死んだ人があったのだ。死んだ女の死の瞬間の近くにいたから死んだ女。二人の死者。同姓同名、全く同じ名前と同じ年齢の二人の死者。運命は計り知れない。暗雲がとぐろを巻いている。
(澁澤政裕)
前々回入院中に書いたものを改稿したもの。
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