ショートストーリー
都心の駅の雑踏の中、そして天使はまたあらわれて、彼女の耳というより脳裡に対しこう囁くのだ。「スマホ。電車の中で誰も彼もがスマホを弄くっている。でも、それが何だというのか。情報の氾濫が自分でものを考える能力を持たない人間を増殖させている? で…
不条理のようだ。計り知れない一個の運命ではあるだろう。暗雲がとぐろを巻いている。それは出口とはまた違う何らかの結論。謀られた偶然とも映る。だが運命は多くの場合そうしたものだ。不条理と条理とは背中合わせに密着し結びつけられている。運命は計り…
一人の少年と、一人の少女とがいる、この二人のちょっとした一幕だ。少年、……彼の名前は何だろう。目線か樹木と関わりのある何か真っ直ぐとした名前だろうが、作者の知るのは彼が少年であることだけだ。少女の名前はもう少しはっきりしている。瑠璃色にまつ…
彼と彼女はスーパーでおなじ時間に買い物するだけ、 ほぼ毎日のことである。 たまに眼と眼の合う時は お互い何か気づいていても曖昧に眼をそらす、 お互いに。 この恋は実らないだろう、 もう二カ月もつづいてる。 小咄「似たもの同士」 ## 彼女が彼に気があ…