一人の少年と、一人の少女とがいる、この二人のちょっとした一幕だ。少年、……彼の名前は何だろう。目線か樹木と関わりのある何か真っ直ぐとした名前だろうが、作者の知るのは彼が少年であることだけだ。少女の名前はもう少しはっきりしている。瑠璃色にまつわる名前。何か、瑠璃色にまつわる名前なのだ。瑠璃色の子ともう少し真っ直ぐな、もう少し子供な子。むろん二人は仲が良かったのである。
おなじ当番を任されていた。その日限りの日直などとは違う。飼育係なのである。抱っこされたり撫で撫でされたり、つまり二人の接触と、そしてお世話になることとを待つ、三匹の動物がいた。三匹の白い兎。しかし瞳の色が赤いのは一匹だけである。今の学年に上がってから、自他ともに高学年だと思う五年生になってから、ずっと二人はしっかりサボらずに自分の役目を果たしていた。
しかし暴力を振るうことには何故愉しさや快感が伴うのだろう。それはもちろん、相手の痛みを想像しないからである。想像力、……それは天分だけ持って生まれた才能だけでは飽くまでも未熟な未完成なものでしかない。経験値はつねに何につけても必要なものなのだ。才能と経験値、そのいずれともが要る。
少年は三匹の兎を可愛がっていた。が、たまに同時に蹴ったり殴ったりしたい衝動にも駆られた。そして少女の眼を盗んでは、しばしば兎たちに軽い蹴りを入れていた。ごく軽めに、本当は思いきり蹴飛ばしたい衝動を抑えながら。そして或る時、少女にそこを目撃されたのだ。
その時の思いがけない一幕。
その時少女のかいま見せた思いがけない何か。
少年の予期していたものとは何か違ったものがあったのだ。何か、彼が彼女に対して感じ、恐らくは彼が彼女になかば期待もしていた何か。
あ……、という顔をした、その時彼女は。その口の端(は)に微かな笑みが浮かんでいる。
「駄目なんだよ、いじめちゃ」少女は言った。
しかし何故だろう、彼女の笑みが消えなかったのだ。
(澁澤政裕)
前々回入院中に書いたものに直しを入れたもの。初稿は担当のお医者さんに読んでもらったりしましたね…… 誰かに読んでほしくて。今では良い思い出。
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盗作屋はハッキングだけでなく家宅侵入までしたと思われる。母と組んでるんですから。ほんと、正気の沙汰じゃない(笑)そして事実上それを黙認した、つまり事実上の共犯の方たちがいる。何故そんなことが起きるのか、FBのほうには書きました。〝出る杭を打つ〟ためなんです。おれは自分のことを出る杭だなんて思っていなかったのに。そしてその人たちはそんな自分を絶対に認められない。どうしようもない人たちがわんさかいるよ……
↓ストーカー連中(盗作屋でもある)関連の情報です。初犯どころではないです、確実。お読み頂けると幸いです m(_ _)m