〝 浸透 〟

夕刻の駅前広場で

それは鳥たちの帰るところだ

そこに育った青葉の木々を見た

かしましいほど鳴いている

繁茂の中に紛れ

守られ

声はほとんど声のみだった

 

運命という言葉を見ている

しかしそれはもっと甚大なものを意味する

ただの自分である

あなたもおれも夕刻も

ショッピングモールも歩道橋の階段も鳥も

だけどその時おれは見ていた

 

ずっと以前にも見た

あいだには余りに長い距離がある

夕刻

その時も夕刻だったと思うのだ

こんなに生きるとは知らなかった

 

鳥たちのねぐらのそばに

いまはそこにいる

 

 

                                                      (澁澤政裕)

初稿だけど直さないかも。

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